9.の答



問題は
mを2以上の整数とする。このとき、
かつ

を満たす自然数の組(p,q)が、どんなmに対しても少なくとも4つ存在することを示せ。


ですが、見通しを良くするため、少し条件を厳しくした次の主張を考えることにします。

mを2以上の整数とする。このとき、
かつ

を満たす自然数の組(p,q)が、どんなmに対しても少なくとも4つ存在する。…(*)


まず証明に必要な関数と演算を定義します。

(定義A)
自然数の対から整数への関数

で定義します。


すると

ここでのある程度良い近似値ならばでほぼ一定なので、


の絶対値が小さい」ということは、の積が小さいことを表すと考えられます。

分母bを大きくすれば、誤差は簡単に小さくすることが できるので、これは、「分母の大きさの割に頑張って誤差を小さくしている」度合いと考えることができます。

いまの近似値とするとは更に良い近似値となります

(特にのときがニュートン法の漸化式に相当します)。

そこで、

(定義B)
自然数の対の積

で定義します。


この演算については
交換則

結合則


の実数k倍を

の和

で定義すると





という関係が成立します。
そして

より

という大切な関係が成り立っていることがわかります。
あと1つ補題を証明します。

( 補題)
とすると任意の自然数a,bについて

(証明)

分数関数の値域はTD>なので

(証明終)



それではいよいよ(*)の証明に入ります。

[1]自然数対の列



で定義します。するとM(2,1)=-1と(4)より、すべてのnについて

と( 補題)より、すべてのnについて


(2)より

(5)(6)より

これよりのときとなるので、

は問題の(p, q)の条件を満たします。そして

と(6)よりなので

どの2以上の自然数mについてもをみたすは必ず1つまたは2つあります。

の2つある場合にはの2組の解が得られます。

をみたすが1つしかない場合は必ずであるので、

<
で2組の解を得ることができます。



[2]別の自然数対の列




で定義します。するとM(7,3)=4,M(2,1)=−1と(4)より、すべてのnについて

と( 補題)より、すべてのnについて



(2)より

(7)(8)より

前の場合と同様にして、は問題の(p, q)の条件を満たします。そしてより、

全ての2以上の自然数mについてを満たす解(p, q)として、

の形の2組、または

の形の2組

のいずれかはつくることができます。

[3]すべての自然数i,j,k,lについて

かつはともに奇数なので、


のどの2つをとっても等しくなることはありません。


よって[1][2]より
どんな2以上の自然数mに対しても
かつ

を満たす自然数の組(p, q)が、少なくとも4つ存在することが証明できました。
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